ゾンカ語

ゾンカ語
ゾンカ語(ゾンカご、རྫོང་ཁ)は、ブータンの国語である. シナ・チベット語族のチベット・ビルマ語派 チベット・ヒマラヤ語群に属する言語で、チベット語の南部方言に分類される. 話者数は約40万人(1991年). ゾンカの「カ」が「言語」を表すことから、本来は、ゾン語という意味であり、「ゾンカ語」ではなく「ゾンカ」が用いられる場合も多い. 当記事では、特筆すべきことがない限りはゾンカ語と表記する.

ゾンカ語はブータン20県(ゾンカク)のうち首都ティンプーを含む西部8県(ティンプー、プナカ、ガサ、ワンデュ・ポダン、パロ、ハ、チュカ、ダガナ)に居住するガロン族の言語を元にしており、それ以外の地域ではリンガ・フランカとして使われる.

エスノローグによると、中央チベット語とは同系ではあるが、ヒンディー語とネパール語の関係と同様に、相互理解可能ではない. シッキムで話されているシッキム語とは部分的に理解可能である. ブータン東南部のツァンラカとは48%、中央のブムタンカとは47%~52%、東部のアダップとは77%の語彙の類似が認められる.

言語の歴史は12世紀に遡り、宮廷、軍幹部、高学歴エリート層、政府、行政機関の言語として発達してきた. 「ゾンカ」とはゾン(僧院・行政・軍事の機能を併せ持つ城砦)の言葉という意味である. 現在、国語として規定されており、国民議会使用言語、行政機関共通語、学校共通語、新聞使用語、放送用語の一つであるが、ゾンカ語地域以外での通用度は高くなく、むしろ英語やネパール語の通用範囲の方が広い. そのため、政府はブータンの共通語としてゾンカ語を強化・普及していく方針を打ち出している.

  • ブータン
    ブータン王国(ブータンおうこく、འབྲུག་ཡུལ་、Kingdom of Bhutan)、通称ブータンは、南アジアに位置する立憲君主制国家. 首都はティンプー. 北は中国、東西南はインドと国境を接する.

    国教は仏教(ドゥク・カギュ派). 民族はチベット系8割、ネパール系2割. 公用語はゾンカ語.