チャモロ語

チャモロ語
チャモロ語(チャモロご、Chamorro language)またはチャモル語(チャモルご、Fino' Chamoru)は、グアム・北マリアナ諸島(北マリアナ連邦)の現地人の母語. VSO型言語である.

どちらの国でも公共の場では英語が、また観光業に従事する人を中心に日本語も使われているが、依然チャモロ語も話されている. チャモロ語はアメリカの本土に移住した人々とその子孫の一部にも使われている.

チャモロ語の多くの単語はスペイン語を語源としている. 例えば、店を意味するテンダ(tenda)は、スペイン語のティエンダ(tienda)から来ている. この他にスペイン語の影響で、一部の名詞では男性形と女性形の区別がみられる. 例えば、アメリカ人男性はアメリカヌ(Amerikanu)、アメリカ人女性はアメリカナ(Amerikana)である. しかし、すべての名詞が男性形と女性形で区別されているわけではなく、日本人は男性女性共にツァパネス(Chapanes)である. このようにチャモロ語は語彙に関してはスペイン語の影響を強く受けている.

しかし、チャモロ語の借用語の利用は非常にミクロネシア語的である. 例えばボール遊びを意味するブモボラ(bumobola)という言葉は、スペイン語から借用したbola(ボール)にチャモロ語の接中辞 umと語根の重複(reduplication)が組み合わされている. とはいえスペイン語の影響は大きく、数詞を含む基本語彙にまで及んでいる.

クレオール言語と断言はできないが、それに近いとみなされることもある. なお、一部に現在のチャモロ語をスペイン語に『征服』された言語だとし、チャモロ語古来の単語を復活させようとする純化運動も存在する.

なお、スペイン語ほどではないが日本語由来の単語もあり、例えば茶葉は"chaba"、白菜は"nappa"と言う.

およそ5万から7万5千人のチャモロ語話者がマリアナ諸島の全域にいる. チャモロ語は北マリアナ諸島の家庭では今でも一般的に使われているが、グアムではアメリカ統治下でアメリカ英語のピジンがもっぱら使われるようになり、チャモロ語の流暢な話者が大幅に減少している.

チャモロ語はフィリピン諸語の一部と文法上最も近縁な関係にある. それらの言語とは、語彙だけでなく、文法的にも多くの類似点があると指摘されている.

  • グアム
    グアム (Guam、Guåhån)は、太平洋にあるマリアナ諸島南端の島. アメリカ合衆国の準州.

    1898年の米西戦争からアメリカ合衆国の海外領土. 第二次世界大戦下で1941年から1944年にかけて日本軍が占領統治し、「大宮島(おおみやとう) 」と呼ばれた.
  • 北マリアナ諸島
    北マリアナ諸島自治連邦区(きたマリアナしょとうじちれんぽうく、Sankattan Siha Na Islas Mariånas、Commonwealth of the Northern Mariana Islands、カロリン語: Commonwealth Téél Falúw kka Efáng llól Marianas)、通称北マリアナ諸島(Notte Mariånas)は、ミクロネシアのマリアナ諸島のうち、南端のグアム島を除く、サイパン島やテニアン島、ロタ島などの14の島から成るアメリカ合衆国の自治領(コモンウェルス)である. 主都は、サイパン島のススペ.

    北マリアナ諸島は、1945年まで日本の委任統治領である「南洋諸島」を構成していたが、戦後、米国の信託統治下の太平洋諸島信託統治領となった.