オーストラリア森林火災 (2019年-2020年)

オーストラリア森林火災 (2019年-2020年)
オーストラリア森林火災 (オーストラリアしんりんかさい)は、2019年9月より多発化し、2020年2月まで続いたオーストラリアの大規模森林火災.

オーストラリアではほぼ毎年のように森林火災が発生しているが、特に2019年は、平均降水量が観測史上最も少なく空気が乾燥していたのに加え、平均気温も過去最高を記録し、12月には記録的な熱波が到来するなど、火災が発生・拡大しやすい条件が整っていた. 2019年9月頃から南東部のニューサウスウェールズ州を中心に頻発するようになった森林火災は 、乾燥・高温・強風の条件が重なり全国的に猛威を振るった. 夏季のピークとなる1月・2月を前にして既に被害は甚大であり、2020年1月11日には、類焼面積10,700,000ヘクタール(107,000平方キロメートル )以上、建物被害5,900棟以上(うち住宅2,204棟以上)、死者29名にまで拡がった.

煙の害も深刻であった. 森林火災から発生した大量の煙が都市部を覆い、呼吸困難を訴える患者が続出した. 煙は海を越えてニュージーランドに到達し、上空を煙霧で覆った. さらに煙は太平洋を越え、12,000キロメートル離れた南アメリカのチリとアルゼンチンに到達し、ブラジルでも観測された.

また、大規模な森林火災は、オーストラリアに生息する貴重な野生動物にも深刻な影響をもたらしている. 2020年1月8日に発表されたシドニー大学のクリス・ディックマン教授の試算によれば、既に哺乳類、鳥類、爬虫類など10億以上の生命が失われたと推定されている. 大規模森林火災の影響は長く続くと予想され、生息地が焼失し餌の確保が困難になることから、生き残った動物たちの絶滅が危惧されている.

地域別の被害では、特にオーストラリア南東部での被害が大きい. ニューサウスウェールズ州では、2019年9月頃から大きな被害が出始めた. 100件以上の森林火災が州内を席巻し、、ミッド・ノース・コースト、ハンター・リージョン、シドニー西端部の及び、、イラワラ、、、など多くの地域が大打撃を受けた. 南隣のビクトリア州では、からにかけての森林火災が手の付けられない状態となり、4週間にわたって燃え続け、広大な地域が焼き払われた. 12月末、ついに火災は森林から出て犠牲者を生み、多くの町を脅かし、とを孤立させた. 州政府は、について非常事態を宣言した. 南オーストラリア州では、とカンガルー島で大規模な森林火災が発生した. クイーンズランド州南東部や西オーストラリア州南西部でも森林火災が発生しているが、ニューサウスウェールズ州やビクトリア州ほどの規模にはならなかった. タスマニア州や首都特別地域(ACT)でも一部の地域で森林火災が発生しているものの、少ない被害で済んでいる.

1月31日、ACT政府は17年振りとなる非常事態宣言を発令した.

同年2月14日までに、ニューサウスウェールズ州の消防当局が「全ての火災を封じ込めた」と事実上の制圧宣言をした. この火災によって、約5万匹いたといわれるコアラの内、約3万匹が死んだという.

  • オーストラリア
    オーストラリア連邦(オーストラリアれんぽう、) 、通称オーストラリア() は、オセアニアに位置し、オーストラリア大陸本土、タスマニア島及び多数の小島から成る連邦立憲君主制国家. 首都はキャンベラ. 最大の都市はシドニー.

    イギリス連邦加盟国であり、英連邦王国の一国となっている. 日本での略称は豪州(ごうしゅう)である. 総面積は世界第6位である. 近隣諸国としては、北にパプアニューギニア・インドネシア・東ティモール、北東にソロモン諸島・バヌアツ、東はトンガ・ニューカレドニア・フィジー、南東2,000km先にニュージーランドがある.