沿海地方 (Primorskiy Kray)
1938年以来、この地域には行政体としてプリモルスキー・クライ(プリモルスキーは「沿海地、海岸地」を意味するプリモーリエ(Приморье)の形容詞形)となっており、クライは普通、「地方」と訳されるロシアの地方行政区分の一種であるため、沿海地方と訳されるようになった. なお、沿海地方を含む極東ロシアの広い地域にはかつて、ロシア帝国によってプリモルスキー州が置かれており、その訳語であった沿海州が現在も地理的な用語として使われることがある.
東南に日本海に面し、おおよそアムール川を北限、ウスリー川を西限とする. 北はロシア領のハバロフスク地方で、西に中国、南に北朝鮮と国境を接する. 東は日本海を挟んでサハリン州(樺太・千島列島・歯舞群島・色丹島)がある. また中部ウラジオストクから北の中国との国境にはハンカ湖(興凱湖)がある. 日本海沿岸にはシホテアリニ山脈がそびえ、豊かな自然が残っており世界遺産に登録されている. 沿海地方の74%が森林地帯で、オオカミ、アムールトラ、アムールヒョウ、ヒグマなども生息している. 沿海地方南部のピョートル大帝湾は日本海でも最大級の湾で、この湾内にナホトカやウラジオストクなどの大きな港湾が集中する.
海を挟んで隣接する日本を含む東アジアの諸国と近接した関係にあるため、地政学的に重要視される地域であり、ロシア極東の中では経済的に優位にある.