カシミール語

カシミール語
カシミール語 (カシミールご、Kashmiri, कॉशुर, ) は、主にインドのジャンムー・カシミール州西部で話されている言語である. パキスタンにも少数の話者がいる. インド・アーリア語派のダルド語群に属し、この語群の中ではもっともよく知られた言語である. 話者の人口は約710万人(2011年).

インド憲法の第8付則に定められた22の指定言語のひとつである. スリナガル一帯で話される方言が標準的と考えられている. ただし、ジャンムー・カシミール州の公用語はウルドゥー語である.

インド語派の大部分の言語の語順が SOV であるのに対し、カシミール語はドイツ語と同様のV2語順を取る.

カシミール地方は、14世紀以降イスラム国家の支配を受け、イスラム化が進んだ. 1907年まではペルシア語が公用語であり、それ以降はペルシア語の影響を強く受けたウルドゥー語が公用語になった. このため、カシミール語はペルシア語の強い影響を受けている.

ほかのインド語派の言語と異なり、カシミール語には それぞれの短母音と長母音に加えて、中舌母音 および短い が存在するため、短母音が8つ、長母音が7つ存在する. さらに鼻母音も発達している. インドの言語の中でも非常に多くの種類の母音のある言語である. ただし、カシミール語の母音の分析は学者による意見の違いがある.

子音では ts tsh と c ch とを区別する. いわゆる有声帯気音が存在しないのはパンジャーブ語と同様だが、パンジャーブ語のように声調を発達させてはいない.

カシミール語の子音のもうひとつの特徴は口蓋化子音であり、 以外のすべての子音について口蓋化子音を音韻的に区別する. 語末でも対立がある.