リンガラ語

リンガラ語
リンガラ語(リンガラご、Lingála)は、コンゴで用いられるバントゥー語族の言語である. コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、アンゴラ、中央アフリカ共和国に分布し、話者の人口は1000万強である. コンゴ川中流域において広く話され、コンゴ民主共和国の首都キンシャサの共通語もリンガラ語である. 19世紀後半にヨーロッパ列強がこの地方に進出し、交易が盛んになるとともにリングワ・フランカとして誕生し、ベルギー領コンゴ時代に布教や交易、軍隊用語として定着した. クレオール言語であり、ヨーロッパ諸語からの借用語も多い. 特に両コンゴにおいて、共通語として広く使われ、リンガラ語によるテレビやラジオ、新聞が多く発行されている. またスークース(リンガラ音楽)と呼ばれるリンガラ語によるポップミュージックがキンシャサを中心に1970年代以降さかんになり、コンゴのみならずアフリカ各国に影響を与えた. 別名にバンガラ(語)(Bangala, bangála)があるが、これは特定の地域で話されている方言の一種を指したり(参照: )、リンガラ語の話者を指したりする場合がある. しかし、バンガラという名称は特定の民族集団を指すわけではない.

リンガラ語の形成過程について明確に説明した記録は残されていない. コンゴ川流域では様々なバントゥー語 が話されており、それらが今日のリンガラ語のもとになったと見られているが、その中でも特にボバンギ語(Bobangi)がリンガラ語と文法がほぼ同じで、リンガラ語にある語彙の半数が見られるなど、リンガラ語形成に及ぼした影響が強いと見られている. リンガラ語とボバンギ語の関係について論じた文献はいくつか見られるが、Bokamba (2009) によると、まず はボバンギ語とリンガラ語との間に多数の同系語が認められる点を根拠に、ボバンギ語からリンガラ語が生じてウバンギ川(Ubangi)沿岸部のコンゴの交易人たちの間の通商語となり、やがてコンゴ川伝いにコンゴ民主共和国北東部のキサンガニ(Kisangani)まで爆発的に広まった、とする見方に立っている. Bokamba はホワイトヘッドと同様の見方は Guthrie (1935)、Bwantsa-Kafungu (1970, 1972)、Bokula (1983) など、他の数々の研究者たちもとってきたものであるとしている. Mumbanza (1973) はこれとは裏腹にリンガラ語の母体となった河岸部の言語はいくつも存在し 、ボバンギ語はその一つであったに過ぎないと主張している. Samarin (1982; 1985; 1990/1991) はリンガラ語はボバンギ語からのピジンの形で19世紀後期の中央アフリカ植民地化の時期にリングワ・フランカとして発達し、またボバンギ語自体も植民地化よりも前の時点においてはカサイ川(Kasai)とコンゴ川の合流点を起点として通商語として用いられていたと主張している.

その後、リンガラ語は布教活動を展開しようとしたキリスト教の宣教師たち、特にマンカンザを拠点としたスヘウト派()のデ・ブーク(De Boeck)の手により、周辺で話されていた言語の構造を参考とした文法や語彙の整備が行われた. このような経緯により成立したリンガラ語は学校リンガラ語()、文語リンガラ語()もしくは古典リンガラ語()と呼ばれている.

  • コンゴ共和国
    コンゴ共和国(コンゴきょうわこく)は、中部アフリカに位置する共和制国家. 東にコンゴ民主共和国、北にカメルーンと中央アフリカ共和国、西にガボン、南にアンゴラの飛地カビンダと国境を接している. 首都はブラザヴィルである.

    同国はコンゴと呼ばれる地域の一部から成り立っている.
  • コンゴ民主共和国
    コンゴ民主共和国(コンゴみんしゅきょうわこく、)は、中部アフリカに位置する共和制国家. 首都はキンシャサ特別州.

    北西にコンゴ共和国、南西にアンゴラ、南にザンビア、東にタンザニア、ブルンジ、ルワンダ、北東にウガンダ、南スーダン、北に中央アフリカ共和国と国境を接し、西は大西洋に面する.
  • 中央アフリカ共和国
    中央アフリカ共和国(ちゅうおうアフリカきょうわこく、République centrafricaine、Ködörösêse tî Bêafrîka)、通称中央アフリカは、アフリカ中央部にある国家である. 北東はスーダン、東は南スーダン、南はコンゴ民主共和国、南西はコンゴ共和国、西はカメルーン、北はチャドと国境を接する内陸国. 首都はバンギ.

    独立以来クーデターが多発しており政情は常に不安定である. その影響から経済は低迷し続けており、後発開発途上国あるいは失敗国家のひとつに数えられる.