スワヒリ語

スワヒリ語
スワヒリ語(スワヒリご、Kiswahili)は、ニジェール・コンゴ語族ののバントゥー語群 に属す、アフリカ東岸部で国を越えて広く使われている言語. ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダでは公用語となっている.

スワヒリ語自身では、言語を表す接頭辞ki- を付けてKiswahili(キスワヒリ)と呼ぶ. なおWaswahiliはスワヒリ語圏の人々を、Uswahiliはスワヒリの人々の文化を指す.

スワヒリ語は東アフリカ沿岸地域の多くの民族の母語となっているバントゥー諸語の一つである. 数世紀にわたるアラブ系商人とバントゥー系諸民族の交易の中で、現地のバントゥー諸語にアラビア語の影響が加わって形成された言語であり、語彙の約50%はアラビア語に由来する(ただし、21世紀初頭において使用されているアラビア語由来の語彙は30%程度であり、しかも英語などによって置き換えられつつあるため減少傾向にある). しかしあくまでもアラビア語の影響は語彙の借用にとどまっており、語幹はあくまでもバントゥー諸語のものであるため、ピジン言語やクレオール言語ではなく、バントゥー諸語のひとつに分類されている. また、ペルシャ語、ドイツ語、ポルトガル語、インドの言語、英語からの借用語も見られる. 母語としての使用者は、ザンジバル全域で使用されているほかはケニアおよびタンザニアの沿岸部において使用されるのみであるが、現在、東アフリカでは主に第二言語として数千万人に使用されており、異なる母語を持つ民族同士の共通語としての役割を果たしている.

タンザニア、ケニアでは公用語、コンゴ民主共和国では国語に定められている. また、ウガンダは1992年にスワヒリ語を小学校の必修科目に指定し(実態は伴っていない)、2005年には東アフリカ連邦構想を念頭に公用語に指定した. スワヒリ語とその近縁の言語は、コモロのほぼ全域(コモロ語参照)、ブルンジ・ルワンダ・ザンビア北部・マラウイ・モザンビーク・ソマリア南部沿岸地域の一部でも話されている. コモロ語はスワヒリ語の近縁の言語であるが、アラビア語からの借用要素がより多いものである. スワヒリ語話者はかつて北はモガディシュまで広がっており、紅海南部の港市やアラビア半島南岸、ペルシャ湾岸でも通用した. しかし、20世紀半ばまでにソマリアにおけるスワヒリ語の範囲はキスマヨ、バラワおよび周辺の海岸沿いと沖合の小島のみへと狭まり、1990年にはスワヒリ語話者を含む多くのバントゥー系が内戦を避けてケニアへ流れた. 現在ソマリアに残っているスワヒリ語話者の人口は定かでない. また、アフリカ連合においては英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語と並んで6つの公用語のうちのひとつとなっている. スワヒリ語話者の増大と言語の地位上昇に伴い、世界各国の放送局がスワヒリ語放送を開始している. スワヒリ語圏以外でスワヒリ語放送を行っている、あるいは行っていた放送局は、BBCワールドサービス、ボイス・オブ・アメリカ、ドイチェ・ヴェレ、ロシアの声、中国国際放送、ラジオ・フランス・アンテルナショナル、ラジオ・スーダン、ラジオ・南アフリカなどである.

ガスリーによるバントゥー諸語の分類法では、スワヒリ語はGゾーンに属する.

スワヒリという語は、アラビア語で「海岸に住む人」を意味する「sawāhalii سواحلي」に由来する(sawāhaliiは「sāhil ساحل」(海岸、境界)の複数形「sawāhil سواحل」の派生語).

知られている最も古いスワヒリ語文献は、1711年にキルワ島でアラビア文字で書かれた手紙である. これはキルワ王国のスルターンが、モザンビークのポルトガル人と、地元の同盟国に向けて書いたものである. この手紙は、現在はインドのゴアにある歴史的公文書館に収蔵されている. このほか、知られている最古のスワヒリ語文献の一つには1728年の『Utendi wa Tambuka』(Tambukaの物語)と題するアラビア文字による叙事詩がある. ラテン文字が一般化したのはヨーロッパ諸国による植民地化以後のことである.

スワヒリ語は「 (methali)」、すなわち言葉遊び・洒落・韻文の形をとる諺・寓話の類が発達している(例:Haraka haraka haina baraka 英訳:Hurry hurry has no blessing). メサリはスワヒリラップ(Swahili rap, Swah rap)の中にも見ることができ、音楽に文化・歴史・地域的な質感を与えている.

  • ウガンダ
    ウガンダ共和国(ウガンダきょうわこく)、通称ウガンダは、東アフリカに位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国である. 東にケニア、南にタンザニア、南西にルワンダ、西にコンゴ民主共和国、北に南スーダンとの国境に囲まれた内陸国である. 首都はカンパラ.

    ナイル川(白ナイル)の始まるヴィクトリア湖に接している. 旧イギリス植民地.
  • ケニア
    、通称ケニアは、東アフリカに位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国である. 北にエチオピア、北西に南スーダン、西にウガンダ、南にタンザニア、東にソマリアと国境を接し、南東はインド洋に面する.

    首都のナイロビはアフリカ大陸有数の世界都市で、国際連合環境計画と国際連合人間居住計画の本部が置かれている.
  • ルワンダ
    ルワンダ共和国(ルワンダきょうわこく)、通称ルワンダは、東アフリカにある共和制国家. 内陸国であり、西はコンゴ民主共和国、北はウガンダ、東はタンザニア、南はブルンジと国境を接する. 首都はキガリ. イギリス連邦、東アフリカ共同体 、アフリカ連合などの加盟国である.

    アフリカで最も人口密度が高い国である. 当時の国民の一割以上が犠牲になったルワンダ虐殺(1994年)を経て、和解と社会改革、経済建設を進め、2020年代において治安は比較的良好とされる.