キクユ語

キクユ語
キクユ語(キクユご、)またはギクユ語(ギクユご、Gikuyu)、ゲコヨ語(ゲコヨご、; 原語名: Gĩgĩkũyũ または Gĩĩgĩkũyũ )はケニア周辺に住むキクユ族の言語で、大西洋・コンゴ諸語(Atlantic–Congo)の狭義のバントゥー諸語に属する.

ケニアのキアンブ(Kiambu)、ムランガ(Murang'a)、ニェリ(Nyeri)、メルー(Meru)の各カウンティの他ナクル(Nakuru)のナイヴァシャ湖(Naivasha)地域やナイロビでも話されている. ケニアの首都ナイロビは公用語の英語や共通語のスワヒリ語使用者も多いものの、もともとキクユ語使用地域の中に存在しており、ナイロビまたはその近郊出身者でキクユ語を中心に話すものも数多い. 公用語ではないにもかかわらずラジオやテレビ、映画などのメディアにおいても広く使用されている. 約600万人がケニア国内に居住し、国内では最大言語のひとつである.

正書法が確立されており(参照: )、『』(2006年; キクユ語: )のグギ・ワ・ジオンゴ()などのようにキクユ語で文筆活動を行う作家も存在する. また辞書や文法書、様々な主題についての言語学的研究の著作といった文献が豊富であり 、Barra (1960)、 (1969)、Wanjohi (2001) など、キクユ語のことわざを集めた著作もいくつか出されている.

言語自体の特徴としては同一の名詞であっても前後の語の有無や種類などによって声調もしくはアクセントが変動する点(参照: )や、動詞の過去形についてつい先ほど・今日・昨日以前・おととい以前の区別が存在すること(参照: )、また他のバントゥー諸語同様クラスの概念が存在すること(参照: )などが挙げられる.

キクユ語の分類は Lewis et al. (2015) と Hammarström et al. (2017) の両者において大西洋・コンゴ諸語、(Volta–Congo)、(Benue–Congo)、(Bantoid)、南バントイド諸語(Southern Bantoid)、狭義のバントゥー諸語(Narrow Bantu)までは共通している. 両文献において共通して近い分類とされている他の言語はエンブ語(Embu; 別名: Kiembu)、(Mwimbi-Muthambi)である. また、Lewis et al. (2015) ではキクユ語はエンブ語やムウィンビ・ムザンビ語の他(Dhaiso)やカンバ語(Kamba)、(Chuka、Cuka)、(Tharaka)、メル語(Meru)と共にキクユ・カンバ諸語(Kikuyu-Kamba)という下位区分で括られている. キクユ・カンバ諸語と呼ばれる通り、メル語・キクユ語・カンバ語はこの順で方言連続体の関係にあり、なかでもキクユ語とカンバ語は相互に意思疎通がある程度可能である. しかし、カンバ語よりもキクユ語との相互理解性が更に高いとされるのはエンブ語、ムウィンビ・ムザンビ語、チュカ語、ザラカ語、メル語イメンティ方言(Imenti)およびティガニア方言(Tigania)などである.