クリミア半島 (Autonomous Republic of Crimea)
「半島」という単語を用いてクリミア半島と呼ぶ場合と、単にクリミアと呼ぶ場合がある.
クリミア半島は、英語でCrimean Peninsula、ロシア語でКрымский полуостров、ウクライナ語でКримський півострів、クリミア・タタール語のキリル文字表記でКъырым ярымадасы、同じくラテン文字表記でQırım yarımadası.
クリミアは、英語でCrimea、ロシア語でКрым、ウクライナ語でКрим、クリミア・タタール語のキリル文字表記でКъырым、同じくラテン文字表記でQırım.
日本語で一般的な名称となっている「クリミア」は英語のCrimea( クライミア )に由来する.
このほか、ロシア語Крым( クルィム )またはウクライナ語Крим( クルィム )のカタカナ表記からクルィム、ロシア語の日本語表記の異形またはドイツ語のKrim( クリム )からクリムと呼ぶこともある.
これらのヨーロッパ諸言語に基づく名称は、クリミア・タタール語を含むテュルク諸語による古くからの名称 قريم / Qïrïm / Qırım / Къырым ( クルム )に由来する. クルムは、もともとはジョチ・ウルス時代のクリミア半島の中心都市(現在の)の名称で、オスマン帝国がクリミア・ハン国を支配していた時代に半島全体の名称となった. クルムの語源は確かではなく、古テュルク語で「丘」、「尾根」、「山の頂」などを意味した“*Kɨr” という単語にあてる説 、黒海北岸の古代地名である「キンメリア」と関係あるとする説 などがある.
ヨーロッパでは、古くはギリシア語の地名Ταυρική(タウリケ)に由来するタウリカ、タウリスと呼ばれていた. この名前は古代にクリミア半島に居住していたスキタイ=キンメリア系民族のタウロイに由来する. ストラボンとプトレマイオスは、現在のケルチ海峡を「ボスポロス・キンメリオス」(キンメリア海峡)、タウリカの中心都市を「キンメリウム」、半島そのもの又は最東端の岬のことを「プロモントリウム・キンメリウム」(キンメリア岬)とキンメリア人と関連づけて呼んでいる.
英語でのクリミア系統の名称の用例は、18世紀にクリミア・ハン国を指してクリム・タルタリー(Crim Tartary)としたものがある. 英語のCrimeaのつづりはイタリア語(少なくとも17世紀にはこの名称が使用されていた. )由来で1780年代に使われ 、19世紀を通じて英語の伝統的な名称であったタウリカやタウリスに置き換わった.
ロシア語では、古名であるタウリカが、18世紀末にロシア帝国が併合したクリミア半島にタヴリダ州を設置したことで復活している. タヴリダの地名はソ連以降、公式の行政地名としては用いられていないが、クリミア半島に所在する機関や団体の名称に用いられることがあり、タヴリダ国立大学、SCタフリヤ・シンフェロポリなどがある.